悪露でおろおろ〜床上げ2週間の謎

出産後の母体の重症度を「交通事故相当」と表現するのを聞く。

なぜ交通事故と内臓出血、骨盤の歪み、産道の負傷が主である出産後の状態を同列に扱うのかは謎。

交通事故は打撲だから内臓の損傷が同じということ?よくわからん。

 

いや、交通事故より出産の方が軽いとか、そういうことを言いたいわけではない。

なんというか、出産の「ここまで言わないと辛さが理解してもらえないからやや過剰に表現する」的なのが、いろんな理解を遠ざけてる気がするのである。

 

交通事故相当の負傷なのに動けるやん、みたいな。

 

 

正直、どんなに大袈裟に説明したって共感性のない人には伝わらないし、正しく理解して正しく説明する方が周囲の理解を得やすいのではないか?

 

 

 

 

 

では、床上げについて。

出産後は床上げまでに2〜3週間かかるという。

つまり、2〜3週間寝たきり生活を病院から命じられるのである。

 

それはなぜか?

 

出産というのは大量出血を伴う。

その大量出血の原因は胎児が産道を通るときに周辺の組織を傷つけて出血している場合もあるが、子宮にひっついていた胎盤がベリベリ剥がれることで起こる出血が主なものであると考える。

 

胎盤というものは臍の緒で母体と胎児をつなぎ栄養や酸素を供給する仮設タンクみたいなものだ。

母体の酸素を供給するというのはつまり、中を動脈が通ってるのだ。

動脈の止血は基本的に結紮(糸で結んでギュッ)である。

出血の勢いがすごいからだ。

それを引きちぎって胎盤を剥がすのである。

そら大量出血をするわな。

 

碌な止血をせずに動脈を引きちぎるわけだから大量出血不可避の状態、

動脈は血管自体が筋肉に囲まれているのでしっかりしているし、血管の太さにもよるが放置すると簡単に失血状態になる。

ではどうやって血を止めるのか。

 

子宮を速やかに収縮させることで血管の断端ごと閉めるのだ。

出産後2時間分娩台に置かれ、その後お腹を押さえつけられる。

子宮に溜まる血液を出すのと子宮を圧迫することで子宮収縮を促すのだ。

この子宮から出てくる血液とか分泌液を悪露という。

 

一時間毎に子宮を抑えることで出血量の確認と子宮収縮の促進を行う。

これが地味に辛い。

 

ほんとに、痛いとかではなく辛い。

う…ぐぇぇ…みたいな感じ。

 

あと子どもに母乳を与えることで子宮収縮を促す。臨月に乳頭を刺激し擬似的に射乳反射をおこすことで子宮収縮を促し陣痛を誘発しようとしてた、あれと同じことをするわけだ。

 

この産後に子宮が収縮して元の状態に戻ることを子宮復古というらしい。

この子宮復古が完了するのに2〜3週間かかる。ということはそれくらいで血管も閉まるのである。

 

つまり出血をしている間が安静にするべき期間であると考える。

 

 

では、この期間に安静にしないと何が起こるのか。

 

 

要は大きな傷を内臓に抱えた状態で無理をすると、傷の治りが悪くなるのだ。

傷の治りが悪いというのは徐々に瘢痕化していく、ということだと思う。

瘢痕化っていうのは分かりやすく言うとニキビ跡みたいな感じになるんですな。

そこだけ別の組織(繊維組織とか)に置き換わってしまう。

 

ここでやっかいなのは子宮という臓器。

子宮は筋腫(できもの)が出来ても生理が重くなり、子宮腺筋症のように筋肉の中に違う組織が入り込んでも生理が重くなる、なかなか繊細な臓器だ。

瘢痕化なんてしようものならその後の生理が重くなりそうな気がする。

 

産後というのは高かったプロゲステロンエストロゲンが急に下がる状態だ。これは生理や更年期の際のホルモン動態と似ているのだ。

産後のコンディションが悪いということがその後の生理や更年期に影響を与えるという根拠はここから来ていると言える。

 

 

 

あと、瘢痕化した所に胎盤がつくことはなさそう…と思うと次の妊娠時に前置胎盤になる恐れがある。

 

前置胎盤っていうのは胎盤が形成される場所が子宮口に近すぎて子宮口を覆っている状態、つまり胎盤が邪魔して胎児の出口を塞いでいる状態である。

 

 

とまあその後の生活の質や次の妊娠時に影響が出るため、産後はあんまり派手に動かない方がいいんですね。

 

でも難しいよね、

私も実家にいるけど、退院した直後にもらったサンプルとか資料を仕分けて部屋を片付けて、一晩子どもの世話を1人でしたら次の日から下腹部が重くなりました。

 

本当に寝たきりにした方がいいんだろうな、とは思いつつも親も年だしあんまりおんぶに抱っこも気がひけるのよね。

 

私の場合は退院した次の日から夫が年末年始休暇に入って夜助けてくれたからいいけど。

夫が「俺は仕事で忙しいから」と言って私たちを無視して携帯扱ってたら、たぶんぶっ飛ばす。

それだけは分かるぞ。

 

本当、子どもにできる1番大きくて重要なプレゼントは良い夫と結婚することだよ。

良い夫を大切にしよう。

 

 

やっぱね、共感性っていうのは一朝一夕に身につくものではない。

夫婦がどちらも「私がこの世で1番忙しい」モードになったら家庭生活は崩壊するわね。でもこちらがどんなに気を遣っても、共感性のない人間が相手だったらこっちが気疲れするだけなのだ。

 

しかもその後の影響も母体の状態が悪くなるだけといえばそうだから、夫にとっては関係ない話なのである。

これを自分ごとのように考えてくれるのってえらいよなーと思う。

 

 

逆の立場で私がそれを出来るかって言われたら少し自信ない。

 

本当、我が家は私が女で夫が男だからバランス取れてるんだなー、と産後特に思った。